若光の生涯など漫画化 「まんが高麗王若光物語」

谷ケ﨑市長(中)とともに漫画を手にする製作委の丸山会長(右)と高麗1300の大野理事長

 高麗郡の歴史や初代郡司を務めた高麗王若光(こまのこきしじゃっこう)の足跡を子どもたちや若者に分かりやすく伝えようと、「まんが高麗王若光物語」が発刊された。

 建郡1300年の記念事業を通じて高麗郡の歴史や文化を伝え、地域活性化を目指す「高麗1300」(大野松茂理事長)や高麗若光の会(朴仁作会長)らで構成される「高麗郡1300年マンガ製作委員会」(丸山晃会長)が企画し、作者は秩父市出身の漫画家・比古地朔弥さん、監修は高麗神社宮司の高麗文康さんが務めた。発行は埼玉新聞社。

 高麗郡は霊亀2年(716年)、大和朝廷によって集められた高句麗からの渡来人「高麗人(こまひと)」1799人が日高市や飯能市を中心とした県西部の武蔵国に移住して開拓。入間郡に編入され廃止となる1896年まで約1200年にわたり存続した。

 その初代郡司を務めたのが高句麗の王族とされる高麗王若光で、若光が没した後、その遺徳を偲んで祀ったのが高麗神社の始まりとされている。

 「高麗郡建郡に至るまでの若光の道のりには数多くの苦難があり、また、現在に至るまでには子孫を取り巻く数々の激動のドラマがあった。漫画で表現することによって、そうした地域の歴史を、未来を担う子どもたちや若者により広く知ってもらいたい」。

 今回、漫画化された作品は、監修者の高麗さんが平成25年に出版した歴史ロマン小説「陽光の剣~高麗王若光物語」を参考に、若光から数えて60代目の子孫となる主人公「文康少年」の視点を通じて、若光が高句麗から日本へ渡り、祖国滅亡の憂き目を経て、渡来人を率いて高麗郡を拓いたその生涯と、子孫として1300年にわたり神社を守り続けてきた高麗家の歩みを描いた。

 作者の比古地さんは秩父出身で「学習まんが本多静六博士物語」をはじめ、「漫画うんちく埼玉」「ちちぶ老舗スケッチ」「秩父湯めぐり花さんぽ」など、地域の偉人や見所を紹介する作品を数多く手掛けている。

 製作委員会は、広く地域の人々に読んでもらおうと、小中学校や図書館、公民館への設置用に日高市へ30冊を寄贈した。高麗郡エリアだった飯能市など7市3町へも寄贈するという。

 監修者の高麗さんは発刊にあたり「制作過程で色々な方々が苦労されている姿を見るにつけ、高麗郡建郡1300年の祝祭が志を共有する多くの仲間に支えられていることを感じ、感動した。地域の皆様、関心をお持ちの方々に手にとって頂き、ご覧頂ければ幸い」と話している。

 価格は1000円(税別)。日高市内では高麗1300事務所、高麗神社、渡来センター、備前屋、なかや、亀屋、サイボクハムで取り扱っている。問い合わせは、実行委員会事務局(高麗1300内)978・7432へ。