福島さんの鉄道画 地元で作品展 全国でも話題に

ネットで話題を呼んだ作品「首都圏」と福島さん

 細密な鉄道画で知られる日高市中鹿山在住の福島尚(ひさし)さん(47)の作品展が、同市横手のギャラリー喫茶「ガレリア・デ・カフェ・リモン」で開かれている。立体的な列車の細部や線路、砂利の一粒一粒まで描き込まれた精密な描写力は鉄道愛好家を唸らせるほど。

 長年にわたり自宅で創作活動を続けているが、近年、メディアやインターネットで全国に話題が広がり知名度が上昇。今年2月には「地元を代表する画家として多くの人に作品を鑑賞して欲しい」と、地元関係者らを中心に福島さんを応援する会が発足し、今回の作品展を企画した。

 自閉症を抱える福島さんは4歳の頃に蒸気機関車に関心を持ち、鉄道の絵を描き始めた。日高市内の授産施設「かわせみ」に通いながら創作活動を続け、八高線、川越線、西武線など地元の鉄道を皮切りに、両親との旅で出会った各地の列車を題材に自宅で絵筆を走らせている。

 20代で作品展を開いたのをきっかけに、各地の絵画展等へ積極的に出品するようになり、日高市美術展、中美多摩展、同本展、川越を描く公募展、銀座を描く公募展などで入賞。その実力が認められ、近年は市内外で個展を開催。

 また、創作活動の様子がドキュメンタリー番組でも取り上げられ、広く注目を集めるようになり、昨年12月には、JR大宮駅に高崎線の車両が入ってくる様子を描いた平成16年の作品「首都圏」が、信号機メーカーが株主向けに発行した報告書の表紙に掲載されると、「まるで写真のよう」とネット上で話題を呼んだ。

 作業所から帰宅すると真っ先にキャンバスへ向かう福島さんは、下書きをせず、記憶を頼りに迷わず絵筆を走らせる。アクリル画、水彩画に加え、ペーパークラフトなど年齢を重ねるごとに作風の幅が広がり、心象風景を取り入れるなど構図や色使いにも変化が見られるようになった。写実的な作品への驚きと共に、風景の中を走る列車の姿は郷愁を誘い、多くの人々の心を捉えている。

 今年2月には地元関係者や全国の支援者が集まり「福島尚さんを応援する会」(高野豊代表)が発足、今回の作品展を企画した。関係者は「福島さんは独特な感性と感覚で創作を続けている。市を訪れる多くの人々に作品を鑑賞して頂けるよう、応援していきたい」とバックアップする。

 取材に訪れた記者に「これは蒸気機関車のC62」「これは三陸鉄道」と作品に描いた列車を一つ一つ丁寧に説明する福島さん。「今はペーパークラフトを作るのが楽しい。これからも絵を描き続け、多くの人に見てもらいたい」と話している。

 作品展は5月29日まで。ガレリア・デ・カフェ・リモンの住所は日高市横手1-17-2。営業日は木・金・土・日。時間は午前11時~午後5時。問い合わせは、978・5353へ。