50年の歴史にピリオド 首都圏ヘラ釣りの名門宮沢湖

1日から釣り施設の撤去が行われている宮沢湖

 入間漁業協同組合(古島照夫組合長)の漁業権放棄に伴い、宮沢湖での民間による釣り営業が先月末で終わった。漁業権放棄は、フィンテックグローバル社が同湖にムーミンのテーマパークを建設するための必要な事柄となっており、漁協側が全面的な協力姿勢を示したもの。

 宮沢湖に漁業権が設定されたのは昭和39年1月。導水のため、小瀬戸の入間川と暗渠で結ばれ、種苗放流も行われたことから、入間漁業への漁業権が県知事免許として与えられた。

 同湖の漁業権放棄は、今年2月に市林業センターで開かれた総代会で提案。執行部からそこに至った経緯について説明が行われたが、出席した総代からの反対意見はなく、承認された。

 漁協関係者のこれまでの話を総合すると、宮沢湖へのテーマパーク整備については、釣りの全面廃止が前提としてあり、フィ社はボートなどによる水面利用も検討しているという。

 宮沢湖の所有権については国から飯能市に移行し、周辺の土地もそれまでの西武鉄道からフィ社に譲渡済み。さらに入間漁業の漁業権放棄、釣り営業の廃止によりムーミンパーク建設のための環境は一層整ったことになる。

 西武鉄道から委託を受けていた事業者によるヘラブナやワカサギ釣りなどの営業は先月末で終え、同事業者によって浮き桟橋など釣り場施設の撤去作業が行われている。

 同湖に放流された魚種としてはヘラブナやワカサギなど。昭和39年の釣り人への開放後、こうした魚を求めて多くの釣り人が関東を中心に足を運び、思わぬ大物との出会いに胸を高鳴らせた。

 50年の歴史に幕が下りたことで、感傷的な釣り人も少なくないが、今後問題になりそうなのが、漁業権消滅による釣り人の侵入行為だ。釣り施設撤去に伴い、皆無となる監視機能も「こうした行為に拍車をかける」と危惧する関係者もいる。

 フィ社によるムーミンテーマパークの開園は来年。建設工事着手時期の発表はまだだが、湖の所有者である市はそれまでの間の宮沢湖への立ち入りなど、対応を余儀なくされそう?