飯能市が策定した平成28年度から同37年度までの10年間の市のまちづくり針指「第5次総合振興計画基本構想」は17日の3月定例会最終日で賛成多数で可決されたが、採決前の討論では金子敏江議員(共産)が反対、平沼弘議員(緑の会3)が賛成の意見をそれぞれ述べた。

 同総振は、「変える10年!変わる10年!飯能市から始まる日本の創生」をスローガンに、まちづくりの基本理念について「水と緑の交流によるまちづくりの新機軸」など4つの柱を掲げ、来年宮沢湖にオープンするムーミンテーマパーク「メッツァ」と連携しながら、観光振興など地域活性化に市民・事業者・行政の3者が総力を挙げて取り組み、美しく風格ある都市への大転換を図る──とうたいあげる。金子、平沼議員の順で討論を取り上げる。

 【金子敏江議員(共産)の反対討論】

 飯能市が基本構想策定にあたって、まちの将来について若い世代に意見を聞くユニークなアンケートを実施して計画に生かしたり、地方版総合戦略では国の4つの基本目標に沿って策定し、基本構想にも雇用では企業誘致とともに、住民主体の地域資源を生かした創業を支援し、地域内経済循環を促進すること、地場野菜のブランド化、住宅リフォーム助成制度の拡充、空き家活用による移住、定住の促進、結婚から子育てまでの支援、公共交通利用維持のための財政支援などが盛り込まれ、評価するものである。

 しかし、大きく3点述べて反対討論とする。

 ■ムーミンパーク

 飯能市は活性化の起爆剤としてムーミンテーマパークを地方創生の切り札とするために、全面的な協力を表明している。私どもも作者であるトーベヤンソンさんが、ご自身の哲学をムーミンを通して人々に伝えようとした自然との共生や他者を受け入れる寛容なこころの醸成など、飯能の風土や文化、教育に取り込むこと、地域住民が待ち望んでいる阿須小久保線の事業が進展することを願って議会でも発言してきた。これらの問題がしっかり位置付けられたことは大変評価する。

 しかし、メッツァの誘致が第5次総合振興計画策定の直前であったことから、その全容が全く分からないまま総振に位置付けられる形となった。

 そのような中で、ムーミンテーマパークがどの程度、地域振興につながるのか、交通問題のマイナス要因はないのか、財政的な負担はどのくらいになるのかなどの具体的な分析も試算もない中で、今後10年間の飯能市の総合振興計画の柱に据えるには無理があると言わなければならない。

 また、市と事業者との間で結んだ基本協定は相互に連携、協力すること、知り得た情報についての秘密保持などがうたわれている。住民や議会の知る権利を阻害するものであったり、市の新たな負担増を求めるものであったりしないようにする必要があると考える。

 ■民間委託ストップ

 2点目、選択と集中ではなく、住み続けられる地域づくりについて。2014年11月成立した地方創生関連法は、人口減少への危機感をあおり、社会保障費と地方交付税の削減はしかたがない。足りない分は民間投資の活用と、住民間の自助、互助でまかないなさいという側面を持っている。

 5総の基本構想には選択と集中という文言が強調されている。この間、飯能市でも小泉構造改革によって産業の空洞化と雇用破壊が進み、人口減少に拍車をかけてきた。

 飯能市ではとりわけ、山間5地区では2005年比で82・5%に落ち込み、人口対策としては山間地の人口減少をどう食い止めるのか、他市より低い出生率をどう引き上げるかが課題となっている。

 そういう時に国が地方に選択と集中を押しつけて、人口減少に歯止めがかかるのか。上からの補助金や交付金で小さな拠点を推進し、小中学校統廃合を進めるというのではなく、地域の個性を認め、選択肢を増やしていくことこそ必要である。

 飯能市は安心して住み続けられる地域をつくるために、住民の足の確保、学校、保育所、名栗幼稚園や医療機関などの存続を市民に明らかにして、住民が抱いている将来への不安を取り除くことが大切である。

 また、持続可能な地域づくりを前進させるためには今回、新たに出されている新しい協働、新しい公共という考え方で、市政運営を市民、民間企業と同列視する考え方ではなく、市の公的責任を明確にし、安易な民間委託や福祉の切り捨ては止めるべきである。

 次に市民生活の実態をきちんと把握し、市民の暮らしに寄り添った計画にする視点が不足しているという点である。

 市民1人あたりの所得は2006年の268万1000円から、2015年には252万円と年間16万円も減っている。年収200万円以下の働く貧困層が全国にも1100万人を超える中で、飯能市では水道料金、下水道料金、国保税、介護保険料の値上げが繰り返され、市民の暮らしは耐えがたいものとなっている。

 ■選挙公約反故

 その一方で、2本目の企業誘致専用道路として位置付けた飯能大河原線の道路と橋梁建設に30億円もの税金を投入しようとしている点。また、市長選挙公約であった入間川の水を全戸に給水する、県水の見直し、水道料金を引き下げるのどれも選挙公約を反故にし、必要のない県水を年間1億円近い市債を投じて購入し続けるとしている点、認められない。

 もともと、飯能市の総合振興計画は飯能市の自然、緑と清流、森林文化都市など、豊かな自然との共生を基調にしてきた。首都圏から近く、身近な自然を四季を通して満喫できるまちが飯能市である。今回の計画も、豊かな自然を地域資源として掘り起こそうという思いがたくさん散りばめられているが、光を当てるべきは県水である。

 変わる10年、変える10年、変えて欲しいのは県水をなくすことである。本郷浄水場の建て替えを位置づけて、安全でおいしい飯能の水を誰もが飲めるようにすることである。引き続き、県水の縮小、中止を求める。以上、大きく3点述べて反対討論とする。